『血液浄化療法(アフェレーシス療法)』は、体外循環によって血中から病気の原因となる因子(タンパク質やタンパクと結合して血中に存在する病因物質<抗体、炎症性サイトカインなどの免疫関連物質、代謝物質、中毒物質など>)や細胞(リンパ球、顆粒球、ウイルスなど)を除去し、病態の改善を図る治療法です。
『LDLアフェレーシス療法』という治療方法は上記の治療法を用い、LDLという物質を除去する治療法のことです。
体内におけるLDL(低比重リポ蛋白)はLDL受容体を介して、肝臓や末梢の細胞に取り込まれます。
家族性高コレステロール血症は、このLDL受容体を欠損あるいは障害を受けた場合に発症する遺伝的疾患で血液中のLDLコレステロールが増加する疾患です。
両親からコレステロールが高くなる遺伝子を受け継いだ場合、ホモ接合体となり、一方の親からコレステロールが高くなる遺伝子を受け継いだ場合、ヘテロ接合体になります。
ヘテロ接合体は500人に1人、ホモ接合体は100万人に1人存在すると言われています。
身体的特徴としては、アキレス腱の肥厚、結節性黄色腫、角膜輪などで、高率に若年性粥状動脈硬化症をひきおこします。特に虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)の危険性が高くなります。
治療法としては、食事・運動療法に加えHMG-CoA還元酵素阻害剤などの薬物治療が必要で、重症患者さんには血漿交換や、LDLアフェレーシスなど血清中のLDLを直接除去する治療が実施されます。
『閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans; ASO)』は動脈硬化により、四肢の血管が狭くなったり血管が詰まったりすることで血液の流れが悪くなり、虚血症状を示す病気で、四肢にさまざまな障害があらわれる疾患です。
ASOは「全身の動脈硬化病変の一部分症」といわれ、さまざまな病気が合併症として発生する恐れがあります。その合併症としては虚血性心疾患や脳血管障害、高血圧が挙げられます。この他、リスクファクターとして糖尿病、高脂血症、ストレス、肥満なども挙げられます。
ASOの主な症状としては、次のものが挙げられます。
ASOは主に問診・視診・触診で診断が行われ、さらに無侵襲の診断装置や血管造影などを用いて、四肢の血管を評価します。ASOと診断された場合には、薬物療法、運動療法、血行再建術、LDLアフェレーシス(『血液浄化療法(アフェレーシス療法)』の項目を参照)などの治療が行われます。
平成25年4月19日
岩井京子 岸田クリニックにおける足血管病変の現状 豊中透析療法における全身管理を考える会 大阪 大塚製薬
平成26年5月29日
森本照代 当院慢性維持血液透析患者における足病変とフットケアの現状
宮野英三 当院慢性維持血液透析患者の閉塞性動脈硬化症に対するLDL-A治療
LDL‐Aカンファレンス企画 大阪 カネカメディックス
平成27年6月26日
岸田堅 当院慢性維持血液透析患者における閉塞性動脈硬化症に対する血液浄化療法の取り組み
第2回LDL‐Aカンファレンス企画 大阪 カネカメディックス
平成27年9月13日
岸田堅 当院慢性維持血液透析患者における下肢閉塞性動脈硬化症に対するLDL-アフェレーシス治療の検討
第85回大阪透析研究会 大阪国際会議場