透析療法

血液透析(HD)療法

血液透析(HD)療法は、拡散(濃度差による物質の移動)および濾過(圧力差による水と物質の移動)を利用して、体内のゴミを除去する方法であります。現在、患者様の多くが、血液透析(HD)治療をされておられます。HDは、通常4時間(日本透析医学会推奨)行います。また、透析膜の高性能化に伴い老廃物の除去率が、以前に比べてかなり高くなったため、現在のHDを実施継続していただければ、生命予後は特に変わりません。

血液濾過透析(HDF)療法

通常のHD治療を受けておられる方の中には、全身の痒みや足のむずむずなどが強く透析困難な状況や、除去しきれない老廃物によって全身の関節痛などの症状を有する方がおられます。同症状の改善目的で、血液濾過透析(HDF)療法と言う治療法があります。それら老廃物の指標の一つであるβ2マイクログロブリン(β2-MG)の血中濃度を測定しております。

同治療は、通常のHDと異なり、デメリットもあるのでよく読んでご理解して実施を考慮ください。HDFを希望される方は、当院スタッフ(技士)にご相談ください。なお、HDF治療を実施しなくても、透析時間延長や透析膜変更などHDの工夫でも、β2-MGは低下するのでご安心ください。

間歇補充型血液透析濾過(i-HDF)療法

i-HDFとは透析中間歇的(30分に1回程度)に逆濾過による補液を定期的に行い、補充液と同量の濾過(除水)を計画的に行う治療です。
プラズマリフィリング促進により、治療中の血圧低下を抑制する効果があります。
オンラインHDFと異なり、逆濾過により、ダイアライザの透析液側から血液側に直接補液されるのが特徴です。また、膜の逆濾過によりファウリング(タンパク成分の膜付着)の抑制が期待できます。

HDFのメリット

血液透析(HD)で取りきれない老廃物の除去

普通の透析で取りきれない老廃物の除去

透析アミロイドーシスの原因とされているβ2マイクログロブリンの除去効率が良くなります。β2マイクログロブリンに限らず、いろいろな種類の小分子たんぱく質の除去が良くなることで、全身の痒み、下肢のいらいら感などの不愉快な症状、色素沈着の改善、手根管症候群、心臓などの各種臓器へのアミロイドの沈着、破壊性脊椎炎などの合併症を予防できます。

食欲の改善

HDFで不要な老廃物が除去されることで、調子が良くなり多くの方が食欲が出てくるといわれます。ただ、食事量が増えることでリンなどの値が高くなることもありますので注意が必要です。

HDFのデメリット

有用な蛋白の漏出

老廃物たる小分子蛋白のみ除去できれば良いのですが、それだけではなくアルブミンなどの有用な蛋白まで抜けてしまうことが問題になることがあります。

頭痛・倦怠などの不均衡症候群

濾過透析導入後、一過性で、透析後に頭が痛くなるなどの不均衡症候群に似た症状が出ることもあります。

血液濾過の誤差

HDFでは、補液の量を多くすることで体重誤差が問題になることもあります。

HDFのデメリット

HDF治療には、オフラインHDF(従来のHDF)オンラインHDFの2種利の方法があります。★岸田クリニックでは、2015年6月初旬より、オフラインHDFに加えて、オンラインHDFでの治療を行っております。